金の番人である福井日銀総裁は、「反省するけど辞任はしない。」と筋の通らないことを言っている。さらに、福井氏は「村上ファンドで得た利益は国民の納得できる使い道に振り向ける。」などと、己の不祥事を金で片をつけるつもりである。
かって自民党の森喜朗前首相は、森派の総会で、ライブドアが短期間でニッポン放送の筆頭株主になったことについて「若干疑問を感じる。カネさえあれば何でもいいんだ。力ずくでやれるんだという考え方は日本の教育の成果かと(疑問に)思う」と述べ、株式大量取得を批判した。
福井総裁の今回の釈明はまさに「カネさえあれば何でもいいんだ。力ずくでやれるんだ」
という考え方に根ざした傲慢で国民を愚弄した言い振りである。
日銀総裁が失ってしまった信用はカネでは絶対に取り戻せない。日銀の信用を失墜させてしまった責任をとって総裁は辞任するしか方途はない。そんなことも分からない人が日銀の総裁になるとは森前首相流に言えば、日銀の教育の成果かと疑問を感じる。そして、今回のことに関しだんまりを決め込んでいる森前首相には怒りを感じる。
30数年前、社会人に成り立てのころ「品性下劣」という言葉を知ったが、この言葉をその語感どおりに使える機会はなかなか見出せなかった。しかし、今回、ああこういうのを「品性下劣」と言うんだと得心できたような気がする。
その意味では現日銀総裁並びに森前首相には十分に感謝したい。
福井総裁、辞任せず 首相も続投容認
日銀の福井俊彦総裁は15日午後、参院予算委員会に参考人として出席し、村上ファンドに1000万円を投資していた問題をめぐる自身の進退について「反省しなければならないかもしれない」と述べながらも辞任要求には応じない姿勢を示し、この後の記者会見で「今後ともきちんと職責を全うしていく」と強調した。
同委員会後、小泉純一郎首相は記者団に対し福井氏の続投を容認する考えを明らかにした。
また福井氏は委員会答弁で「世間を騒がせ大変申し訳ない」と陳謝、日銀の服務規定の改正を検討する意向を示した。同ファンドへの投資で利益が出た場合の対応については「解約して利益が残るようなら、国民が納得できる使い道に振り向けたい」と発言。ただ、どの程度の利益を得ていたかについては「資料を整理している」と繰り返し、言及を避けた。